a-blog cmsレビュー(その2)

昨日に続き、a-blog cmsのレビューをお送りします。

1.フォーム

Webサイトを作る上で、フォームが必要になることも多いです。
例えば、訪問者にメールを送信していただくためのメールフォームは、企業サイトを作るなら必須と言ってよいでしょう。

a-blog cmsでは、サイト内のどのページにでも、フォームを追加することができます。
テンプレート内にformタグやinputタグを入れて、フォームを作っていきます。

フォームの各要素には、「validator」(入力値の検証)と「converter」(入力値の変換)を追加することもできます。
いずれも、inputタグを使って指定するようになっていて、プログラミングは不要です。

validatorでは、「required」(入力必須)や「min」(最小値)といった条件を指定して、フォームに正しくデータが入力されているかどうかを調べることができます。
入力にエラーがある場合は、再度入力を促すことができます。

また、converterでは、全角英数字を半角英数字に変換したり、ひらがなをカタカナに変換したりすることを、自動的に行うことができます。

なお、一般的なテンプレートの作成の際には、モジュールの設定は管理画面上で行うようになっていました(昨日の記事を参照)。
一方、フォームの作成の際には、validatorやconverterなどを、すべてテンプレートに直接に書くようになっています。
フォームでも、validator等の設定を、管理画面側で行えるようになっていた方が良いのではないかと思います。

1-1.MTとの比較

Movable Typeには、フォームを自由に作る機能はありません。
拙作のメールフォームプラグインや、アークウェブのA-Formプラグインを使うことが必要です。

2.管理画面のカスタマイズとカスタムフィールド

a-blog cmsの特徴の1つとして、管理画面を柔軟にカスタマイズできる点があげられます。
また、記事やカテゴリーにフィールドを追加することもできます(カスタムフィールド)。

カスタムフィールドは、管理画面のテンプレートを、フォームと同じような記法で書き換えて追加します。
また、フィールドを自由に配置することができるので、出力するページに近いイメージの管理画面を作ることができます。
導入先のお客様にとって、管理画面が出力するページに近いと、データの入力を非常にやりやすくなりますので、メリットは大きいです。

実際のカスタムフィールドの事例として、野球のスコアを入力する例をデモしていただきました。
1回表~9回裏のスコアを、実際のスコアボードと同じイメージで入力できるようになっていました。

ただ、管理画面のテンプレートは、手作業で書き換える必要があります。
管理画面のファイル配置や、テンプレート内のHTMLやタグの構造、またテンプレートの書き方など、理解すべき点が多いです。

2-1.MTとの比較

Movable Typeでも、管理画面を書き換えることは可能です。
管理画面のテンプレートをコピーして手作業で書き換える方法(alt-template)と、プラグインでDOMライクに動的に書き換える方法があります。
a-blog cmsの手法は、MTでのalt-templateと似ています。

テンプレートを手動で書き換える方式は、カスタマイズの自由度が非常に高くなるというメリットがあります。
しかし、システムのバージョンアップに伴ってテンプレートもバージョンアップすると、バージョンアップしたテンプレートに、既存の書き換えをマージする作業が生じますので、手間がかかるというデメリットがあります。
また、前述したように、管理画面の書き換え方をよく理解する必要があるのも、デメリットの1つです。

テンプレートを手で書き換えるのではなく、管理画面上でドラッグアンドドロップ等でGUI的にフィールドを追加できるようになれば、かなり便利になると思います。
ぜひそういった機能を搭載してほしいところです。

3.今後の展望

最後に、a-blog cmsの今後の展望を考えてみたいと思います。

a-blog cmsは、商用のソフトとして、有償で販売されます。
また、ソースコードは暗号化されていて、システムの中身を見ることはできません。
オープンソースCMSが多数ある中で、あえて逆の道を行くという戦略です。

一方、個々のCMSが流行するかどうかを決める1つの要因として、外部の開発者をどれだけ引き込めるかどうかという点があげられます。
現在ではWordPressが世界的に成功していますが、その大きな理由は、コミュニティがうまく形成されて、外部の開発者が多数参加していることでしょう。

また、エバンジェリストの存在も必要でしょう。
日本でMovable Typeが広まった1つの理由として、小粋空間の荒木氏などをはじめとして、エバンジェリストと言える人々が活躍したことがあげられます。

有償でかつソースコードを非公開という形態を保ち、かつ外部の開発者を引き込んだり、エバンジェリストを育成したりするには、相当な情報公開や広告宣伝が必要でしょう。
今の段階では、このあたりの展望がまだはっきりとはしていません。

アップルップルのやまもと氏は、a-blog cmsの勉強会を頻繁に行って、売り込みにはげんでいらっしゃいます。
また、6月27日には、CSS Nite LP6でa-blog cmsを紹介されます。
こういった努力が実を結ぶのかどうか、今後の展開を見ていきたいと思います。