米国債務問題で円高が進む

このところ、ドルに対して円が高くなっています。
7月上旬には1ドル=81円程度でしたが、この記事を書いている時点では1ドル=78円台前半になっています。

2011年5月以降のドル=円の動き

最近の円高の主な原因は、アメリカの債務の問題です。
アメリカでは、法律で国債の発行額に上限が決められています。
現在では上限は約14.3億ドルです。

ところが、5月にすでにこの上限に達しています。
このため、これ以上の国債を発行できない状態になっています。

これまでは何とかやりくりしてきたものの、8月にはアメリカの政府のキャッシュが底をつきます。
その結果、このままだと8月に満期になる既存の国債を償還できなくなり、デフォルトに陥ります。

※パソコン関係では「デフォルト」は「既定値」の意味で使われますが、本来の「デフォルト」の意味は「債務の不履行」です。

米国債は、これまで「最も安全な金融資産」と思われていました。
しかし、その米国債がデフォルトし、安全でなくなってしまうと、世界中の金融・経済に大きな混乱が生じる恐れがあります。
世界的に景気が悪化することは免れられないでしょう。

また、ドルを売って、他の比較的安全な資産にお金を移す動きも広がります。
現在進んでいる円高もその1つであり、その流れが加速する恐れがあります。

アメリカがデフォルトを回避するためには、債務上限を引き上げるとともに、歳出を削減して債務を減らすことが必要です。
しかし、この方法を巡って、民主党と共和党が対立しています。
土壇場で何とか合意するという楽観的な見方が多いようですが、余談を許さないです。
米国債務問題には注目する必要があります。