消費者物価に連動して利率が変動する定期預金

このところ、原油・金属・食料などの値上がりが進み、インフレ傾向が目立ってきました。
このような中、東京スター銀行から、消費者物価に連動して利率が変動する「家計の味方円定期」という預金商品が出ました。

インフレになると、預金は実質的に目減りしやすい傾向があります。

例えば、今の時点で年利1%の預金に1万円を1年間預けるとします。
すると、1年後には1万円×(1+0.01)=10,100円になります。
一方、この1年の間に物価が2%上がるとします。
すると、現在1万円の商品Aがあるとすると、1年後には1万円×(1+0.02)=10,200円になります。
今1万円出せば商品Aを買うことができますが、この1万円を預金して1年後に下ろすと、その時点では商品Aを買えなくなってしまいます。
このように、金利よりも物価の上昇率が高いと、実質的に預金が目減りするのと同じです。

インフレのときには、物価上昇率よりも利率が高いもので運用しないと、インフレに負けてしまいます。
「家計の味方円定期」は、物価上昇率(消費者物価指数)に若干のプレミアムを加えた金利がつく預金で、インフレに対抗するのに幾分役立ちます。

「家計の味方円定期」は5年満期の定期預金です。
当初1年間は年1.2%の金利がつきます。
2年目からは、消費者物価指数の前年同月比+0.2%の金利がつきます。
例えば、消費者物価指数が前年同月比+1.5%だと、金利は1.7%になります。

消費者物価指数は、昨年10月から前年同月比プラスで推移しています。
特に、今年6月は前年同月比+2.0%と、高い伸びになっています。
この傾向が続くようであれば、「家計の味方円定期」は、比較的高利な定期預金になる可能性があります。

ただ、現在の消費者物価指数のプラスは、石油の値上がりによる影響が強いです。
石油の値上がりを除くと、消費者物価指数はほとんど変化していません。
また、「家計の味方円定期」では、消費者物価指数の前年同月比+0.2%の金利がつきますが、金利には税金がかかります(20%)。
税金も考慮すると、金利がインフレに負ける計算になります。
これらの点に注意する必要があります。