配偶者控除が見直し?

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毎日新聞によると、政府の税制調査会が来年度の税制改正の中で、配偶者控除を、廃止を含めて見直すよう提言したということです。

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配偶者控除は、所得税を計算する際に、配偶者の所得によって、最大38万円の所得控除が受けられるものです。
夫が会社員、妻がパート勤めのよくあるパターンの場合、妻のパートの収入が年間103万円以下であれば、夫の所得から配偶者控除の38万円を引いて所得税を計算することができます。

新聞の記事によると、税制調査会は「配偶者控除があるために、パートの主婦が年収を103万円以下に抑えようとする傾向があり、女性の社会進出を妨げている」と見ているということです。
また、共働きの世帯が増えたことから、配偶者控除は歴史的役目を終えたとも判断しています。

ただ、パート勤めの方が年収を103万円以下に抑えるのは、配偶者控除だけが理由ではありません。
むしろ、社会保険料の方が大きな問題です。

現状では、パート等で勤めていて、年収が130万円以下であれば、社会保険(健康保険や厚生年金)に加入せずに、相手の配偶者(一般には夫)の扶養に入ることができます。
扶養に入ったからといって、相手の配偶者の社会保険料は上がりません。

一方、扶養から外れると社会保険に加入する必要があり、社会保険料を払わなければならなくなります。
社会保険料は、所得税等は異なり、計算の際に控除がなく、収入にほぼストレートに比例します。
また、健康保険等の社会保険の保険料は、合計すると年収の約12%になります。
そのため、年収が130万円を超えるか越えないかで、社会保険料が0から急に約15万円(=130万円×約12%)に跳ね上がることになります。
その結果、パートの年収が130万円を超えると、世帯全体での手取りがむしろ減ってしまうという現象が起こります。

「女性の社会進出を妨げるから」ということを理由に配偶者控除を廃止するのであれば、上にあげた社会保険料の問題もセットで修正するべきです。
ただ、社会保険料は引き上げの方向であり、また管轄の省庁も異なるので、修正されることはまずなさそうです。
となれば、配偶者控除を廃止したところで、女性の社会進出が進むということにはならないと思われます。

我々庶民は、「配偶者控除をなくすなら、パートの社会保険料の問題も修正しろ」ということを訴える必要があると言えるでしょう。