インフレが徐々に進む

10月15日(月)に、田中貴金属工業の1グラムあたりの金価格(税込)が3,003円になり、3,000円を超えました。
1989年に消費税が課税されるようになってからでは、金価格が1グラムあたり3,000円を超えたのは初めてです。

日次金価格推移(田中貴金属工業)

金の価格は1999年に1グラム900円台まで落ち込みましたが、その後はほぼ一貫して上昇トレンドが続いています。
その頃の値段と比較すると、現在はおよそ3倍に値上がりしたことになります。
特に、2005年から2006年にかけて速いペースで値上がりしました。

2007年に入ってからは金価格は比較的安定した値動きで、8月には世界同時株安に連れ安しました。
しかし、その後は一転して値上がりに戻り、一気に3,000円台に乗せてきました。

金だけでなく、原油もこのところ値上がり傾向です。
ニューヨーク商業取引所の原油先物市場では、今週15日に1バレルあたり86ドル台をつけ、史上最高値を更新しています。
それにともなって、日本でもガソリン価格が上がってきています。

また、身の回りの商品でも、中身を減らして値段はそのままという「見えにくい値上げ」が行われているものがあります。
例えば、ボックスティッシュは以前は1箱あたり200組や250組が標準的でしたが、最近では140~160組しか入っていないものをよく見かけます。

デジタル家電製品などの値下がりの激しい製品もあるため、消費者物価指数などの指数には、インフレ感はあまり出ていません。
しかし、実際的な感覚で見ると、すでにインフレになっていると言えるのではないでしょうか。

預貯金の金利は相変わらず低く、インフレに負けやすい状態です。
今後インフレがもっとはっきりしてくれば、一段とその傾向が強くなるでしょう。

日本ではデフレが長く続いたので、デフレ慣れしてしまってインフレに対する備えがない方が多いと思われます。
上で述べたように、預貯金はインフレに弱いので、ほかの運用方法を考える必要があります。