満期日に日経平均が予想した範囲に入ると利益になる「ニアピンeワラント」

一般的に、投資では買った後にその商品の値段が値上がりすることで利益が得られます。
しかし、このような商品だけだと、商品が値下がりするときや、値段が動かないときには、利益を得ることができません。

値段が動かないことを利用して、利益を得るような商品もあります。
ゴールドマン・サックスの「ニアピンeワラント」も、そのような商品の1つです。

1.損益の概要

ニアピンeワラントは、満期日の日経平均株価がある価格(ピン価格)に一致した場合、1単位につき100円が得られます。
そして、日経平均株価がピン価格から1円はなれるごとに、利益は0.5円ずつ減り、ピン価格から上下200円離れると利益が0になります。
ニアピンeワラント自体を買うのにお金がかかりますので、実質的な最大の利益は(100円ー買値)で、最大の損失は買値分です。

例えば、ピン価格が18,000円のニアピンeワラントを、1ワラントあたり15円で購入したとします。
この場合、満期日の日経平均株価が18,000円になれば、100円が返ってきます。
買値が15円だったので、利益は100円ー15円=85円になります。
そして、日経平均株価が18,000円から遠ざかるほど利益が減り、日経平均株価が17,800円以下か18,200円以上になると、買値の15円分が丸々損失になります。
この例の損益をグラフにすると、以下のようにうなります。

↓ニアピンeワラントの損益の例
ニアピンeワラントの損益の例

なお、実際に売買する際には、最低売買単位は1,000ワラントです。
上の例だと、15円×1,000=15,000円単位で購入することができ、1単位あたりの最大利益は85円×1,000=85,000円、最大損失は15円×1,000=15,000円になります。

2.隣り合う2つのピン価格のニアピンeワラントを組み合わせる

ニアピンeワラントを2つ組み合わせると、最大の利益は低くなるものの、利益になる日経平均価格の幅を広げることができます。

例えば、ピン価格が17,800円と18,000円のニアピンeワラントが、ともに15円で販売されているとします。
この2つを1ワラントずつ買った場合、それぞれの損益と、両者を合成した損益は、以下の表のようになります。
満期日の日経平均株価が2つのピン価格の間に入れば、最大利益70円(100円-2つ分の買値の30円)が得られます。

満期日の
日経平均株価
ピン価格
18,000円の
損益
ピン価格
17,800円の
損益
合成の損益
17500-15-15-30
17550-15-15-30
17600-15-15-30
17650-1510-5
17700-153520
17750-156045
17800-158570
17850106070
17900353570
17950601070
1800085-1570
1805060-1545
1810035-1520
1815010-15-5
18200-15-15-30
18250-15-15-30
18300-15-15-30

上記の表をグラフにしてみると、以下のようになります。

↓ニアピンeワラントを2つ組み合わせた場合の損益の例
ニアピンeワラントを2つ組み合わせた場合の損益の例

3.日経平均オプションとの比較

ニアピンeワラントは、オプション取引の「ロングバタフライ」という手法を利用したものです。
大阪証券取引所の日経225オプションを使えば、ニアピンeワラントと同じような損益になるポジションを組むことができます。

ただ、日経225オプションでは刻みが500円単位なので、ニアピンeワラントのような細かい刻みにすることができません。
また、日経225オプションではニアピンeワラントよりも1単位あたりの売買金額が大きくなります。
少額でロングバタフライのポジションを組みたい方に、ニアピンeワラントが向いています。

4.取扱証券会社

ニアピンeワラントは、SBIイー・トレード証券マネックス証券松井証券で取り扱っています。
また、6月以降に楽天証券カブドットコム証券でも取り扱いが始まります。