どうなるサッポロビール

去る2月15日に、アメリカ系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドが、サッポロホールディングスに対してTOB(株式公開買い付け)を提案し、買収に乗り出しました。

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また、一部新聞では、この買収に対して、キリンビールやアサヒビールがサッポロホールディングスに提携を持ちかけたという報道が出ています。
さらに、一連のニュースを受けてサッポロホールディングス株に買いが集まり、2月16日にはストップ高になっています。

スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドは、これまでにも日本企業の買収をいくつも手がけてきています。
昨年10月には、即席麺メーカーの明星食品に対してTOBをしかけたばかりです。
ただ、このときは日清食品が対抗して明星食品に対して友好的TOBを行い、明星食品が日清食品の子会社になる形に終わっています。

ビール業界はキリンとアサヒの2強がしのぎを削る状況で、サントリーもじりじりと勢力を伸ばしています。
大手四社の中で、サッポロは唯一低迷しているという状況です。

他の業界と同様に、この業界にも再編の波が押し寄せていて、昨年11月にはキリンがメルシャンに対してTOBを行ったばかりです。
このような中で今回の買収が発表され、サッポロがさらなる業界再編の中心になったと言えます。
キリンもアサヒも、サッポロを買収すればシェアを拡大することができ、ライバルに差をつけることができますので、両社がサッポロに提携を持ち掛けるのは、ごく自然な動きだと言えるでしょう。

もっとも、キリンとメルシャンの場合では相互補完的な関係がありましたが、キリン+サッポロやアサヒ+サッポロでは重複する部分が多いです。
キリンはメルシャンとの提携でほぼ穴がなくなった状態です。
一方、アサヒはビールにはスーパードライという看板商品がありますが、第3のビールや缶チューハイでは伸び悩んでいます。
サッポロも現在では缶チューハイを製造しておらず、アサヒがサッポロと提携しても、穴があまり埋まらないです。

サッポロをめぐってスティール・キリン・アサヒの三つ巴の争いになりそうですが、どのような形で決着するのかが注目されます。