FX業者の規制を強化へ

昨日、証券取引等監視委員会が金融庁に対し、FX(外国為替証拠金取引)の規制を強化するよう、建議を行いました。

金融庁設置法第21条の規定に基づく建議について(証券取引等監視委員会)

低金利が続く中で、「海外の通貨で運用して高金利を得られる」といったことをうたい文句に、FXの人気が拡大しました。
ただ、それにともなって悪質な業者が増え、社会問題となったこともあって、2005年に金融先物取引法が改正されるなど、FXに対する規制ができはじめました。

しかし、昨今の金融状況で破綻する業者が多発するなど、FXにからむ問題がまた多くなっています。
このような中で、FX業者に対する規制を強化するべきとの見方から、建議が行われました。

建議は4点で、おおまかにまとめると、FX業者に対して以下のような規制を行おうという内容になっています。

  • 投資家の資産の区分管理を徹底する
  • ロスカット(※1)ルールの制定を義務付け、厳格に運用する
  • レバレッジ(※2)の倍率を下げる
  • 金融商品取引業者として登録する際に、虚偽の書類を提出しないようにする

(※1)ロスカット
損失があるレベルに達したら、強制的に取引を決済して、それ以上の損失の拡大を防ぐこと。
(※2)レバレッジ
少額の証拠金で多額の取引を行うこと。

個人投資家に特に影響があるのは、レバレッジの倍率を下げることではないかと思います。
FX業者が増えて競争が激化する中で、レバレッジを拡大して投資家の目を引こうとする業者が増えています。
レバレッジ100倍などは当たり前で、中には625倍という業者もあります。
レバレッジが625倍だと、予想していたのとは逆の方向に0.16%値動きするだけで、証拠金が吹っ飛ぶ計算になります。
このような高いレバレッジは、あまりにリスクが高すぎると言えます。

建議には、レバレッジの上限について明確な記述はありません。
ただ、産経新聞の記事によると、上限を20~30倍に規制しようという動きのようです。

個人投資家の中には、高いレバレッジを利用して、ほとんどギャンブルと言えるような取引をしている人もいます。
しかし、そのような手法では、一時的に大きく利益を得られることはあっても、長期的に見ると大損になる可能性が高いです。

今回の規制によって、悪質な業者が減ることや、無謀な取引をする投資家が減ることを期待したいです。