生命保険会社が破綻したら?

先週のアメリカの金融危機では、保険会社大手のAIGも破綻の危機に瀕しました。
FRBの緊急融資によってひとまずピンチから逃れましたが、日本のAIG系の保険会社(アリコジャパンなど)にも「自分の保険は大丈夫か」という多くの問い合わせが寄せられたそうです。

今日は、生命保険会社が破綻した場合の対応について紹介します。

生命保険契約者保護機構

1990年代後半に、日本はバブル崩壊後の地価下落等で金融危機に陥り、千代田生命や東邦生命など、生命保険会社がいくつか破綻しました。
そのような中で、生命保険の契約者を保護するために、1998年12月1日に「生命保険契約者保護機構」という機構が設立されています。

生命保険契約者保護機構は、日本で事業を行うすべての生命保険会社が加入しています。
AIG系の生命保険会社(アリコジャパン/AIGスター生命/AIGエジソン生命)も、この機構に加入しています。

補償の内容

生命保険会社が破綻した場合、加入していた生命保険は、生命保険契約者保護機構によって補償されます。
また、その生命保険は、生命保険契約者保護機構や、営業を受け継ぐ保険会社によって、契約を継続することができます。

ただし、保険が完全に補償されるのではなく、「責任準備金の90%」までが補償されます(一部の保険を除く)。
「責任準備金」とは、死亡などによって保険金を支払う場合に備えて、保険会社が積み立てているお金のことを指します。

重要な点として、補償されるのは「責任準備金の90%」であって、「保険金の90%」ではないということがあります。
生命保険の保険料は、死亡率の見込みや、保険会社自体のコストを加味した上で計算されています。
保険会社が変われば、これらの算定基準が変わりますので、保険金が削減されることもあります。

また、バブルの頃に契約したような保険だと、「予定利率」が高く設定されているものがあります。
予定利率が高い保険は、「高い利回りで運用できるだろう」という前提で、保険料が安く計算されています。
しかし現状では、バブル当時のような高い利回りでの運用は不可能です。
そのような保険の場合、責任準備金の削減幅が大きくなります。
さらに、他の保険会社に契約が引き継がれる際に、予定利率も引き下げられることがあります。
これらによって、保険金が大幅に減額される可能性があります。
特に、貯蓄性のある保険(養老保険や終身保険)ほど、減額の幅が大きくなります。

生命保険会社破綻後の契約の扱い

前述したように、生命保険会社が破綻した場合、生命保険契約は他の保険会社等に移転されます。
ただ、移転の処理が終わるまでには時間がかかります。
その間は保険の解約や契約変更を行うことはできません。
また、契約を続けたい場合は、保険料を払い続ける必要があります。
さらに、移転完了後すぐに解約しようとすると、「早期解約控除」によって、解約返戻金が削減されることもあります。

他社の保険に入りなおす方が良い?

「保険会社が破綻しそうになったら、その前に解約して、別の会社で保険に入りなおそう」と考える方もいらっしゃるかと思います。
ただ、それで良い場合もありますが、かえって損になる場合もあります。

生命保険の保険料は、年齢が上がると高くなります。
長期間加入していた保険を解約して、同じ補償内容の保険に入りなおそうとすると、保険料が大幅に上がることがあります。
まず保険の見積もりを取ってみてから、既存の解約するかどうかを考えた方が良いです。

また、保険に加入する際には健康状況の審査を受けることが一般的です。
しかし、審査の結果によっては、保険に加入できなくなったりすることも有り得ます。

投資を考える際には、複数の対象に投資してリスクを抑える「分散投資」が重要です。
それと同様に、これから保険に加入しようという方は、複数の会社に分散してリスクを抑えることを考えた方が良いでしょう。