Movable Type 6が目指す方向

昨日、Movable Type 6が発表されました。
発表された内容から、Movable Type 6が目指す方向を、私なりに考えてみました。

1.エンタープライズ向けCMSへ

元々、Movable Typeはブログツールとして生まれました。
しかし、CMS的にも使えることから、CMSとして利用するユーザーが増えました。

中でも、日本ではCMSとしての需要が強くありました。
そのため、バージョンが上がるにつれて、CMS的な方向が強化されていきました。
また、Movable Typeを本格的CMSに変身させるサードパーティ製品も開発されてきました(Power CMSMTCMSなど)。

このような中で、Movable Typeを素の状態で使ってサイト構築している方は、そう多くはないのが現状だと推測します。
Movable Typeが使われる主な案件は、Power CMSやMTCMSが必要になるような、ある程度規模が大きなサイトであると思います。
また、現時点でMovable Typeを選択する主なクライアントは、多人数でサイトを更新し、またオープンソース製品を選択しないような、比較的大規模でかつ保守的なユーザー(大企業や官公庁など)だと思います。

Movable Type 6では、ライセンス体系が変更されます。
MTOSが廃止され、また5ユーザー版の商用ライセンスも廃止されます。
この変更は、上記の流れに沿ったものだと考えられます。

2.Webサイト向けCMSから汎用CMSへ

Movable Type 6の新機能の1つに「Data API」があります。
REST形式でMovable Typeに問合せをして、Movable Typeが管理するデータをJSONで取得する機能です。

Webサイト向けCMSとしてMovable Typeを使っている人からすると、「Data API?何それ美味しいの?」的に、使い道が見えない新機能だと思います。
しかし、個人的には、Data APIこそがMovable Type 6の一番のキーポイントだと考えています。

ここ数年、Webページがアプリケーション化していく傾向が強まっています。
また、スマートフォンやタブレットでは、Webブラウザ上のアプリケーションではなく、ネイティブアプリをインストールして使う機会が多いです。

これらのアプリでは、サーバーと通信してデータを取得し、クライアント側で表示する仕組みを取ります。
そのため、これまでと比較すると、データをHTMLにして出力する必要性が下がります。
一方で、アプリが解釈しやすい形で、データを出力する必要性が高まります。
Data APIは、まさにそのニーズに答えるための機能です。

このように、Movable Type 6は、Web用のCMSから、アプリのバックエンドとしても使えるような汎用的なコンテンツ管理システムへと、方向を変えようとしていることが感じられます。