平成22年度税制改正大綱(その1)

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12月22日に、平成22年度税制改正大綱が閣議決定されました。
子ども手当の創設や、それに関連する所得控除の縮小など、われわれ一般個人にとって、影響が大きい税制改正になります。

そこで、一般個人に関係のある点をまとめます。
今回は、子ども手当の創設と、扶養控除の一部廃止についてまとめます。

子ども手当/高校授業料無償化

最初に述べたように、平成22年度から子ども手当ての制度が創設される予定です。
15歳以下の子どもに対し、平成22年度は月13,000円、23年度からは月26,000円を支給するという制度です。
また、高校の授業料の無償化も行われます。
さらに、子ども手当の創設に伴って、これまでの児童手当は廃止になります。

なお、子ども手当および高校授業料無償化による所得は、所得税/住民税とも非課税になることが、税制改正大綱に明記されています。
個人的には、子ども手当も課税対象になるのかどうかが気になっていたので、非課税であることが分かってすっきりしました。

扶養控除の縮小

この制度の財源にあてるために、扶養控除を一部廃止します。
ただし、廃止は所得税は平成23年度(再来年)から、住民税は平成24年度からになります。

扶養控除は、扶養家族がいる場合に、所得税/住民税の課税対象から一定の金額を控除できる仕組みです。
大まかにいえば、控除した金額×税率の分だけ、所得税/住民税が減額になります。

当初は、扶養控除は全廃され、かつ配偶者控除も廃止されるような話でした。
ただ、それだと子ども手当ての対象にならない世帯は大幅に増税になります。
そのため、税制改正大綱では、子ども手当と高校無償化の対象世帯に対して、扶養控除を廃止するような形になっています。
具体的には、以下の扶養控除が縮小されます。

扶養家族の種類現行の扶養控除改正後の扶養控除
年少扶養家族
(16歳未満/子ども手当の対象)
所得税:1人につき38万円
住民税:1人あたり33万円
廃止
特定扶養親族のうち、16歳以上19歳未満
(高校無償化の対象)
所得税:1人につき63万円
住民税:1人につき45万円
所得税:1人につき38万円
住民税:1人につき33万円

上記以外(特定扶養親族のうち19歳以上23歳未満や、同居の老親等)の扶養控除は、従来と変更はありません。

なお、これまでの児童手当には所得制限があったのに対し、子ども手当には所得制限を課さないことが決まりました。
そのため、「金持ちにまで子ども手当てを出す必要はない」という批判が多く出ています。

試しに、小学生の子ども2人の会社員の家庭を想定して、子ども手当てによる収入増/児童手当がなくなることによる収入減と、扶養控除がなくなることによる増税分を差し引きして、実質的に増える収入をシミュレーションしてみました。
その結果は以下の図のようになりました。


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小学生の子どもが2人いる会社員だと、年収で約820万円あたりまでは、児童手当の対象になります。
そのため、年収約820万円あたりまでの人は、(子ども手当の収入増-児童手当の収入減-扶養控除がなくなる分の増税)という計算になります。
一方、年収が約820万円を超えている人と、児童手当がもともとなかったので、その分の収入減がなく、(子ども手当の収入増-扶養控除がなくなる分の増税)という計算になります。
そのため、年収1000万円といった高収入の世帯にも、結構大きな恩恵が出ています。
上の図のようなことがありますので、所得制限を導入すべきだと思います。