アメリカが追加利下げ

10月31日に開かれたアメリカのFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FF金利を0.25%引き下げて、年4.5%にすることを決定しました。
前回(9月18日)のFOMCでも0.5%の利下げが行われ、2回連続の利下げとなりました。

サブプライムローン問題で世界的に金融が揺れていて、不安心理が高くなっています。
この問題がさらに悪化するようだと、アメリカの住宅市場が落ち込み、それにともなって耐久消費財などの消費も落ち込んで、不景気になることが予想されます。
このような状況を改善するために、2回連続の利下げが行われました。

一方、アメリカが利下げすると、ドルに投資している人にとっては、金利が下がるのでドルの魅力が薄れることになります。
その結果、ドルが売られてドル安になることが考えられます。

一般に、通貨の価値が下がれば、相対的に物の価値が上がります。
つまり、ドル安になると、アメリカの物価が上がり、インフレにつながります。

実際、物価が上がることを見越して、原油が高騰しています。
ニューヨークの原油先物は、一時1バレルあたり96ドル台に乗せました。

また、金も値上がりしています。
金の先物は、一時1トロイオンスあたり800ドルを超えました。
これは28年ぶりの高値だそうです。
日本でも金価格は上昇していて、今日(11月1日)14時の田中貴金属工業の金価格(税込小売価格)は、1グラムあたり3,133円(前日比+93円)になっています。

このように、現在のアメリカは、サブプライムローン問題があるので利上げはできず、一方で利下げもインフレの懸念があるのでむやみに行えない、という困難な状況になっています。
サブプライムローン問題が解決するにはまだ時間がかかると思われ、今後もアメリカの金融当局は難しいかじ取りを迫られることになるでしょう。

また、原油や金などの商品市場の高騰は、世界的なインフレにつながります。
日本でもガソリン価格が上がっていますし、石油を使う各種の商品の値段も上がりつつあります。
金などの商品に投資するなど、インフレに対する備えを考える必要があると言えるでしょう。